日・西・墨、三国の友好の絆

2023年10月14日 おすすめ情報

三国の交通のはじまり

 慶長14年(1609年)9月3日、マニラからメキシコへ向かっていたフィリピン諸島長官ドン・ロドリゴ・デ・ビデロ・イ・ベーラコスを乗せたスペイン船 サン・フランシスコ号が岩和田の田尻海岸に座礁しました。
これを聞いた地域の住民たちの懸命な救助により乗組員373名のうち317名の命が村民により助けられました。

:田尻海岸

 なかでも有名なのは、凍えきった乗組員らを海女さんが自らの素肌であたためて助けたという史実です。
乗組員たちは食料や衣服を与えられるなど、鎖国を目前とした時代としては手厚い対応を受けました。
さらに、当時の大多喜城主・本多忠朝のはからいにより、ロドリゴは江戸で徳川秀忠、駿府で徳川家康と面会。翌年には家康が用意した大型帆船に乗りメキシコへと帰還しました。

御宿とスペイン・メキシコを繋ぐ歴史的な場所

 1928年、上記の史実から始まった日本・スペイン・メキシコの友好の絆を伝承していくため「日・西・墨三国交通発祥記念之碑」(=通称 メキシコ記念塔)が建てられました。
メキシコ記念塔は、歴史を感じられるのはもちろん、絶景スポットとしても人気の観光場所です。
三国の国旗がゆらぎ、空高く輝く記念塔を目指して階段を上って行くと、太平洋と御宿の街並みを一望することが出来ます。
右側のお散歩コースへ進むと、昨年リニューアルした東屋があり、また違った景色を堪能出来ます。

:メキシコ記念塔

:「抱擁」(メキシコ政府から寄贈)

また、「ドン・ロドリゴ上陸の地」とも呼ばれる田尻海岸は1966年に千葉県指定史跡となりました。代表的な御宿ビーチとはちょっと違った景色を楽しめる隠れスポットでもあります。

そして、駅前の大通り「ロペス通り」は、1978年に御宿に来町したメキシコのホセ・ロペス・ポルティーニョ大統領から名付けられました。

:御宿駅前ロペス通り

 他にも、町内の老舗酒造で「サン・フランシスコ号」の帆柱(マスト)が茅葺屋根の母屋の梁に使われていたり、座礁した乗組員に炊き出しや救護活動を行った大宮神社、中央海水浴場入口付近にサボテンのモニュメントがあったりと、メキシコとのつながりを感じられるスポットがいくつかございます。

 屋外でも過ごしやすい季節になりましたので、歴史をたどりながら町内を散策してみてはいかがでしょうか。

なお、月の沙漠記念館では2023年11月14日(火)まで「日本・スペイン・メキシコ友好の414年展」を開催中です。こちらも併せてお楽しみください。