ヒラメ稚魚放流で水産資源を守る

2024年07月08日 おすすめ情報

毎年恒例となるヒラメの放流

 御宿岩和田漁業協同組合では例年6月にヒラメの幼魚を御宿漁港と岩和田漁港に放流しています。今年は、御宿漁港と岩和田漁港合わせて約1.9万尾のヒラメを海へと放流しました。

 ヒラメの放流はトラックの荷台に積まれた生け簀からホースや専用器具を使い、直接海中へと送り出します。

 放流されるヒラメは昭和57年より千葉県が種苗を全長30mmまで、その後全長80mm程まで千葉県水産新興公社にて育成されます。種苗放流では、全長おおよそ80mmの個体が放流されています。

なぜ放流をするのか

 ヒラメを含む多くの水産動物は産まれてからすぐに捕食される危険に晒され、成魚(大人)になれる個体は限られてしまいます。そこで水産資源を積極的に増やしていくことを目的として、特に不安定な稚魚を人工的に育成して一定程度成長をしてから放流をする「栽培漁業」を行う事で生存率を高めています。

 また、漁業者は成魚についても「資源管理」の一環として、30cm未満のサイズの個体を漁獲した場合は持ち帰らずに再放流するなどの取り組みを皆で協力して行っています。釣りをされる方におきましても30cm未満のヒラメは再放流をするようにご協力をお願いいたします。

 これらの取り組みは、昨今注目を集めるSDGsの目標14に挙げられている「海の豊かさを守ろう」に繋がるものとなっています。

種苗ヒラメと天然ヒラメの違い

 栽培漁業の取り組みに用いる種苗生産したヒラメと天然のヒラメの違いとして、種苗生産したヒラメには、本来であれば砂に擬態するために表面が海底の砂の色と近い色になるが、その表面が白くなる白化現象と、裏面が本来は白くなるところが一部において黒くなる黒化現象が発生する特徴を持った個体が生じることがあります。これらの現象については技術開発により軽減されつつありますが、より天然の魚に近づくように千葉県が技術開発を続けています。

今回放流した稚魚が4~5年後、大きくなって町内の鮮魚店や飲食店などで皆様にお愉しみいただけるよう、今後も取り組んで参ります。

協力      御宿岩和田漁業協同組合
公益財団法人千葉県水産振興公社